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FAT!S 10月修了公演 沢則行からのメッセージ

みなさん、
FAT!Sをいつも暖かく応援してくださって、本当にありがとうございます!
唐突ですが、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」って読んだことありますか?
冷害、飢饉、火山噴火、地震…さまざまな厳しい自然環境の中で、 貧しくもけんめいに学び、成長してゆく、ひとりの少年を描いた物語です。
2011年10月の修了公演は、この作品に取り組むことにしました。
あの3月11日午後2時46分、ぼくは札幌にいました。
その直後、仕事のためにプラハに戻り、いつものようにいろいろな国へ行き、 さまざまな日本への視線を感じ、
たくさんのことを訊ねられました。
義捐金のために上演もしました。しかし、いつも迷いがあり、悩みました。
芝居を作り、演じる自分に、できることとはナンなのだ。
自分が今、本当に作りたいもの、演じたい作品はナンなのだ?という自問。
そしてあるとき、答えはストン、と与えられました。
記憶の中からよみがえった作品、「グスコーブドリの伝記」は、 ぼく自身がもっとも感動した賢治作品です。
そして東北人の賢治は、地震が多いこの国で、明日の農業を守る方法を、どんな発電所が可能かを、
今から80年前にけんめいに描いています。
当初、修了公演に関しては、昨年、円山動物園(札幌市)で上演した「注文の多い料理店」 を大枠に、「よだかの星」や
「セロ弾きのゴーシュ」など、いくつかの有名な作品を オムニバスで構成する方針だったので、
FAT!S三年コースの軌道は、大きく変化することになります。
でも、たぶん、これが正解。
しかし、賢治が時代を超えて残した、巨大な森のようなこの作品を、 駆けだしのぼくらが、うまく描ききれる自信は、
正直まったくありません。
ぼく自身が願うことは、お客さまが感動の小さな種を持って、家路についてくださること、
何年か後に、ふっと思い出してくださる、そのときに花開く、そんな夢みたいなことです。

みなさん、ぜひ、見に来てください。
みなさんが、ぼくたちが、みんなが信じる未来への希望が、ものづくりの本当の力です。

5月13日 沢 則行